

「JT株は買ってはいけない?高配当株はリスク?株価の将来性を教えてほしい!」
こんな疑問、悩みに答えます。
本記事では「JT株を買おうか迷っている人」に向けて、以下の内容・目的で記事を書いていきます。
- JT株は買ってはいけない理由(3つのリスク)
- JTと同業他社を業績・株価・配当性向から比較
- JT株は今後どうなる?株価の将来性を市況から考察
結論、JT株を取り巻く事業環境は厳しい。
その厳しさは年々増す一方です。
実際、たばこ市場の縮小やESG投資の流行は強まりをみせています。
さらに、70%を超える配当性向に対する減配リスクも避けられません。
これらのリスクを払拭するのは、そう簡単なことではないでしょう。
そして、JT株にしても、株価の下落はいつ起こるか誰にも予測できません。
今では、物価ばかり上がって、でも給料は上がらない。
先の見えない時代だからこそ、「将来への備え」は重要です。
ではどうすれば、株式投資によるリスクを抑えられるようになるのか?
JTに限らず、株価下落に備えておくべき「考え方」と「具体策」があります。
日本たばこ産業(略称:JT)とはどんな会社?
JT株は買ってはいけない理由に触れる前に。
はじめに、日本たばこ産業とはどんな会社か?基本情報をまとめます。
名称 | 日本たばこ産業株式会社 |
---|---|
本社所在地 | 東京都港区虎ノ門4-1-1 |
設立 | 1985年4月1日 |
従業員数 |
連結 52,640人(2022年12月31日現在) 単体 5,819人(2022年12月31日現在) |
資本金 | 1,000億円 |
発行済株式 | 2,000,000,000株(2023年6月30日現在) |
業績
まずJTの業績についてです。
事業内容
次にJTの事業内容は以下の通りです。
出典: JT「統合報告書2022」
- たばこ事業
- 医薬事業
- 加工食品事業
売上に占める割合が最も高い事業は「たばこ事業」
2022年度実績(2兆6,578億円)に対し、たばこ事業の売上比率は91%を占めています。
つまり、今も昔も名実ともに「JT」は「たばこの会社」と表現できます。
配当・株主還元
JTの配当・株主還元についてです。
JTの1株あたり配当金の推移は以下の通り。
今期(2023年度)の予想は、前期実績と同じく188円です。
JTの1株当たり配当金 | 中間配当 | 期末配当 | 年間配当 |
---|---|---|---|
2023年度 | 94円 | 94円(予想) | 188円(予想) |
2022年度 | 75円 | 113円 | 188円 |
2021年度 | 65円 | 75円 | 140円 |
2020年度 | 77円 | 77円 | 154円 |
2019年度 | 77円 | 77円 | 154円 |
2018年度 | 75円 | 75円 | 150円 |
(出典:JT「株主還元方針・配当」)
そして、株主優待は廃止されました。
過去10年の株価推移
そしてJTの過去10年の株価推移についてです。
2015年~2016年につけた高値を最後に、長期にわたって下落トレンドを形成。
2020年までの約4年間で、半値以上に株価は下落したことがわかります。
ですが、足元では株価の上昇がみられます。
この株価上昇の理由として挙げられるのが、好調な決算。
実際、2023年12月期1Q決算で2桁の増収増益を発表。
特に海外たばこ事業の伸びが好調。
値上げ効果と為替による円安メリットが業績を押し上げ、買いを集めているようです。
JT株にしても、株価の下落はいつ起こるか誰にも予測できません。
さらに今では、物価ばかり上がって、でも給料は上がらない。
先の見えない時代だからこそ、「将来への備え」は重要です。
ではどうすれば、株式投資によるリスクを抑えられるようになるのか?
JTに限らず、株価下落に備えておくべき「考え方」と「具体策」があります。
JT株は買ってはいけない?3つのリスク
JTの株価は、足元では上昇傾向にあります。
なんですが、意識しておくべきリスクもあります。
具体的なJT株は買ってはいけない3つのリスクについて解説します。
【リスク1】国内たばこ市場縮小による業績への影響
まず1つ目のリスクが「国内たばこ市場縮小による業績への影響」
国内たばこ市場は縮小傾向にあります。
実際、国内における紙巻きたばこの販売本数をみても明らか。
上図の通り、紙巻きたばこの販売本数は、年々減少が続いています。
さらに成人喫煙率は、2019年で27.1%。
10年前の割合(38.2%)と比較しても、10ポイント以上減少しているのがわかります。
今後も、国内におけるたばこ市場は縮小が予想されています。
縮小が予想される主な理由として、以下のような要因が挙げられます。
- 健康志向が高まっているから
- 若者のたばこ離れが加速しているから
- たばこ税の見直し(増税)が継続的に行われているから
当然、喫煙者が減れば、JTの業績への影響は避けられません。
なぜなら、JTの売上収益のうち、国内たばこ事業の売上は3割弱を占めているから。
喫煙者の減少で、株価への影響も避けられない。
ですので、今後の将来性を鑑みれば、JT株の購入はリスクが高いといえます。
【リスク2】世界的な喫煙率低下とESG投資家からの敬遠
次に2つ目のリスクが「世界的な喫煙率低下とESG投資家からの敬遠」
喫煙率の低下は、日本だけではありません。
WHOの見通しによると、世界的に喫煙率は低下(喫煙者の減少)が報告されています。
世界的な喫煙率低下が進む背景には、以下のような要因が挙げられます。
- WHOによる「たばこ対策」への呼びかけ
- 各国政府や企業のたばこ消費減少への取り組み
- 健康意識の高まりや広告の規制による消費の減少
各国政府や企業がたばこ対策へ乗り出しています。
なので、現在の市況から鑑みても、たばこ産業は逆風以外の何ものでもない。
さらに、株価への影響が大きい海外投資家からも敬遠されがちです。
なぜなら、環境や社会に配慮した事業を手掛ける会社に注目が集まる「ESG投資」が現在のトレンドだから。
実際、JTの海外投資家比率を見ると、減少の一途をたどっています。
JT|株式の状況 (所有者別構成比) |
外国人 | 個人 | 法人 | 金融機関 |
---|---|---|---|---|
2022年度 | 12.10% | 32.58% | 1.74% | 15.21% |
2020年度 | 12.18% | 31.44% | 1.51% | 15.33% |
2018年度 | 19.98% | 22.38% | 1.13% | 19.94% |
2016年度 | 30.92% | 14.79% | 0.83% | 17.33% |
2015年度 | 32.10% | 14.02% | 0.59% | 17.15% |
(出典:JT「有価証券報告書等」)
2022年度における海外投資家比率は12.1%。
2015年度と比較して、20ポイントも減少しているのがわかります。
つまり、たばこ産業は今のトレンドからも避けられているということ。
今後もたばこ需要の高まりが見込めないのであれば、短期だけでなく長期保有もリスクは高いといえます。
【リスク3】70%を超える高い配当性向に対する減配への懸念
そして3つ目のリスクが「70%を超える高い配当性向に対する減配への懸念」
JTの配当性向(連結)は以下の通り。
毎期70%を超える高い配当性向を実施しているのがわかります。
JT株の配当性向 | 配当性向(連結) | 年間配当金 | 当期純利益(連結) |
---|---|---|---|
2023年度(予想) | 73.0% | 188円 | 440,000百万円 |
2022年度 | 75.4% | 188円 | 442,716百万円 |
2021年度 | 73.4% | 140円 | 338,490百万円 |
2020年度 | 88.1% | 154円 | 310,253百万円 |
2019年度 | 78.6% | 154円 | 348,190百万円 |
(出典:JT「有価証券報告書等」)
今期配当金も前期と同じく188円を予定。
高い配当金を出してくれるのは、投資家にとっては嬉しいこと。
なんですが、配当性向が高すぎる銘柄には注意が必要です。
なぜなら、業績が悪化すれば一転して「減配」となるリスクが高まるから。
実際、JTの売上収益のうち3割弱を占める国内たばこ事業はすでに縮小傾向にあります。
さらに、6割を超える売上比率を占める海外たばこ事業についても、リスクを警戒する動きは強まっています。
特に警戒が強まるのは「ロシア・ウクライナ情勢」
ロシア市場が占める割合は、2022年度実績で約22%にのぼるとされています。
(出典:JT「2022年度 決算説明会」)
これらの市況から、懸念しない投資家はいないでしょう。
従って、JTの配当性向の高さに対するリスクには、今後も注意する必要があります。
JT株にしても、株価の下落はいつ起こるか誰にも予測できません。
さらに今では、物価ばかり上がって、でも給料は上がらない。
先の見えない時代だからこそ、「将来への備え」は重要です。
ではどうすれば、株式投資によるリスクを抑えられるようになるのか?
JTに限らず、株価下落に備えておくべき「考え方」と「具体策」があります。
JTと同業他社を業績・株価・配当性向から比較
ここまで、JTのみにフォーカスし株価や事業の将来性を解説してきました。
ただ1社のみの分析では結果に偏りが生じます。
同業他社と比較・分析することで、結果の確度はより高まります。
ここでは、JTと同業他社を業績・株価・配当性向から比較していきます。
食品業界の銘柄比較
まずJTと食品業界の銘柄比較をまとめた表が以下の通り。
比較表(2022年度) | 日本たばこ産業 (2914) |
アサヒグループホールディングス (2502) |
キリンホールディングス (2503) |
---|---|---|---|
売上高 | 2兆6,578億円 | 2兆5,111億円 | 1兆9,894億円 |
当期純利益 | 4,427億円 | 1,515億円 | 1,110億円 |
営業利益率 | 24.59% | 8.64% | 5.83% |
自己資本比率 | 54.07% | 42.66% | 38.55% |
ROE (自己資本利益率) |
13.94% | 7.94% | 11.85% |
EPS (1株当たり純利益) |
249.45円 | 299.10円 | 135.09円 |
PER (株価収益率) |
10.67倍 | 13.77倍 | 14.89倍 |
PBR (株価純資産倍率) |
1.33倍 | 1.01倍 | 1.66倍 |
配当性向 | 75.4% | 37.8% | 51.1% |
配当利回り | 7.07% | 2.74% | 3.43% |
※2022年12月末時点(数値はEDINET、Yahoo!ファイナンスから引用)
【比較1】営業利益率は20%超えの高収益事業
「営業利益率は20%超えの高収益事業」
【比較2】配当利回りは7%超と高配当銘柄の代表格
「配当利回りは7%超と高配当銘柄の代表格」
【比較3】配当性向の高さには今後の注意が必要
「配当性向の高さには今後の注意が必要」
JT株は今後どうなる?株価の将来性を市況から考察
ここまで、JT株は買ってはいけないリスクを解説してきました。
改めて、意識すべきリスクを挙げると以下の通り。
- 国内たばこ市場の縮小
- ESG投資家からの投資敬遠
- 高い配当性向に対する減配懸念
状況を鑑みJT株は今後どうなる?株価の将来性を市況から考察していきます。
【考察1】事業環境のリスクは依然として高い
まず前提として「事業環境のリスクは依然として高い」
【考察2】人間の嗜好や行動変化への対応がカギ
さらに「人間の嗜好や行動変化への対応がカギ」
【考察3】たばこ事業以外への多角化が急務
そして「たばこ事業以外への多角化が急務」
【Q&A】買ってはいけないJT株に関するよくある質問
最後に買ってはいけないJT株に関するよくある質問をまとめます。
【質問1】買ってはいけない高配当株の特徴は?

「買ってはいけない高配当株の特徴は?」
【質問2】JT株は長期保有におすすめの銘柄ですか?

「JT株は長期保有におすすめの銘柄ですか?」
【質問3】逆に買っておくべき株はどんな銘柄ですか?

「逆に買っておくべき株はどんな銘柄ですか?」
まとめ:JT株は買ってはいけないリスクと株価の将来性
JT株は買ってはいけないリスクと株価の将来性を考察してきました。
改めて、JT株は買ってはいけないリスクをまとめると、
- 国内たばこ市場縮小による業績への影響
- 世界的な喫煙率低下とESG投資家からの敬遠
- 70%を超える高い配当性向に対する減配への懸念