

「日本郵船の株価はなぜ下がる?そしてなぜ上がる?その理由を教えてほしい!」
こんな疑問、悩みに答えます。
本記事では「日本郵船株の将来性が気になっている人」に向けて、以下の内容・目的で記事を書いていきます。
- 日本郵船の株価が下がる原因と上がる理由<
- 日本郵船と同業他社を業績・株価・配当性向から比較
- 今後の日本郵船株はどうなる?買い時を将来性から考察
なぜ、日本郵船の株価は下がるのか?上がるのか?
そして、日本郵船の将来性・配当実施はどうなるのか?
日本郵船株の購入を検討している方や買い時を探っている方にとって、非常に気になる情報です。
気になる日本郵船の株価が下がる理由・上がる理由と今後の将来性について考察していきます。
結論、日本郵船の株価が下がる理由は「景気後退による先行き不透明感が強まったため」
主な要因は「コンテナ船運賃の下落」
そもそも海運株は景気敏感株の一つでもあるため、景気が後退すれば株価も下がる傾向にあり。
ですので、日本郵船株は買いかどうか?でいえば、様子見が賢明といえそう。
高配当銘柄に選ばれるも、配当金狙いで株を買うのもリスクが高い状況だといえそうです。
ではどうすれば、株式投資によるリスクを抑えられるようになるのか?
老後の生活資金、将来への備えのために始めたはずが、損失を出してしまっては後悔しか残りません。
そこで日本郵船に限らず、株価急落に備えておくべき「考え方」と「具体策」があります。
リスクを抑えて、定期収入にも期待できる方法が知りたい方は、ぜひ参考にしてみてください。
日本郵船とはどんな会社?
日本郵船の株価が急落した理由に触れる前に。
はじめに、日本郵船とはどんな会社か?基本情報をまとめます。
会社名 | 日本郵船株式会社 |
---|---|
本店 | 東京都千代田区丸の内二丁目3番2号 郵船ビル |
創立 | 明治18年(1885年)9月29日(創業 同年10月1日) |
従業員 | 35,502名 |
資本金 | 144,319,833,730円 |
発行済株式 | 510,165,294株 |
株主数 | 354,847名 |
事業内容 | ライナー&ロジスティクス事業(定期船事業、航空運送事業、物流事業)、不定期専用船事業、その他事業(不動産業、その他の事業) |
(2023年3月31日現在)
業績
まず日本郵船の業績についてです。
出典: 日本郵船「業績ハイライト」
2022年の売上高は「2兆6,160億円」
営業利益も前期から増収を続け、2,963億円の業績となりました。
事業内容
次に日本郵船の事業内容は以下の通りです。
- ライナー&ロジスティクス事業
- 不定期専用船事業
- その他事業
このうち、売上に占める割合が高い事業は「不定期専用船事業」
本事業の売上高構成比は『約47%』
約半数もの売上を不定期専用船事業が占めていることになります。
配当・株主還元
日本郵船の配当・株主還元についてです。
日本郵船の配当金の推移は以下の通り。
日本郵船の配当金 | 期末配当 | 中間配当 | 年間配当 |
---|---|---|---|
2023年度(予想) | 70円 | 60円 | 130円 |
2022年度 | 170円 | 350円 | 520円 |
2021年度 (※分割調整後) |
417円 | 67円 | 483円 |
2020年度 (※分割調整後) |
60円 | 7円 | 67円 |
2019年度 (※分割調整後) |
7円 | 6円 | 13円 |
(出典:日本郵船「配当・株主優待」)
そして、株主優待は以下の通りです。
所有株式数 | 優待割引券 |
---|---|
100株以上 1,500株未満 | 3枚 |
1,500株以上 3,000株未満 | 6枚 |
3,000株以上 | 10枚 |
(出典:日本郵船「配当・株主優待」)
過去10年の株価推移
そして日本郵船の過去10年の株価推移についてです。
日本郵船の株価はなぜ下がる?2つの原因
ここから早速、日本郵船の株価の乱高下について解説していきます。
まずは日本郵船の株価が下がる原因についてです。
(株価が上がる理由について先に知りたい方は、こちらからご覧ください)
下図は、日本郵船の過去5年における株価推移を示したチャートです。
2022年に入ってからの株価下落は顕著なのがわかります。
さらに、著しい急落がみられるのは2021年の9月。
上記のタイミングで、日本郵船では何が起きたいのか?
時期を追って、日本郵船の株価はなぜ下がるのか?2つの原因について詳しく解説していきます。
【原因1】コンテナ船運賃の下落
まず影響を受けやすいのが「コンテナ船運賃の下落」
コンテナ船運賃の下落は、海運株の下げに影響します。
なぜなら、コンテナ船運賃が海運業界にとって収益の一つとなっているから。
実際、CCFI(中国コンテナ運賃指数)をみると、2022年後半から急激に下落。
下図の通り、2022年2月の最高値から10月中旬時点には8割近く下落していることになります。
指数が下がれば、日本郵船の株価も下落しているのがわかりますね。
ではなぜ、コンテナ船の運賃は下落したのか?
世界情勢や事業環境の変化など考察されるも、一因として以下が挙げられます。
- 過剰在庫によるブッキング減少
- 米国向け年末商戦向け貨物の前倒し
- 個人消費の減速による荷動き減少
つまり、荷動きの減速が運賃下落を招いた要因。
景気敏感株の一つである海運株が嫌気され、日本郵船株が売られる格好となった。
【原因2】配当落ちが意識され手仕舞い売り優勢
高配当株には起こりがちな「配当落ちが意識され手仕舞い売り優勢」
権利確定日は、株価が下落しやすい傾向にあります。
この動きを「配当落ち」と呼び、配当金分だけ株価が値下がりすることをいいます。
実際、日本郵船の権利確定日は3月末と9月末。
2021年9月のチャートをみても、権利確定前の9月27日から株価の下落は始まっています。
日本郵船の株価推移 (※株式分割前の株価) |
株価(終値) | 下落率(前日比) | 説明 |
---|---|---|---|
2021年9月27日 | 10,270円 | -円(-%安) | 権利確定前 |
2021年9月28日 | 9,430円 | -840円(8.2%安) | 権利付き最終日 |
2021年9月29日 | 9,340円 | -90円(1.0%安) | 権利落ち日 |
2021年9月30日 | 8,450円 | -890円(9.5%安) | 権利確定日 |
株価の推移をみても、権利確定日の下落が顕著なのがわかります。
ただ、権利確定前から比較すると、下落率は17.7%安。
実に1,820円もの株価が、わずか4日間のうちに急落したことになります。
上記のような株価動向は日本郵船に限った話ではありません。
しかし、日本郵船の業績は好調かつ増配も発表していたことから、株価は高値圏まで推移。
権利確定後の下落を見込み、利益確定の売りが先行したといえます。
ロイターの情報をみても、高配当を手掛かりに買われた状況を意識し、売り急ぐ動きが出たという。
高配当株にありがちな株価動向であるため、今後も注意が必要です。
今回の日本郵船株にしても、株価の下落はいつ起こるか誰にも予測できません。
さらに今では、物価ばかり上がって、でも給料は上がらない。
先の見えない時代だからこそ、「将来への備え」は重要です。
ではどうすれば、株式投資によるリスクを抑えられるようになるのか?
日本郵船に限らず、株価下落に備えておくべき「考え方」と「具体策」があります。
日本郵船の株価はなぜ上がる?2つの理由
ここまで、日本郵船の株価が下がる原因について解説していきます。
ここからは、日本郵船の株価が上がる理由についてみていきます。
上がる理由を解説するにあたって、日本郵船の過去5年における株価推移を示したチャートを再掲します。
2021年に入って株価は徐々に上昇。
あるタイミングを境に、株価は急騰しているのがわかります。
さらに、2022年に入っても株価上昇がみられます。
上記のタイミングで、日本郵船では何が起きたいのか?
時期を追って、日本郵船の株価はなぜ上がるのか?2つの理由について詳しく解説していきます。
【理由1】売上・利益ともに業績が急拡大したから
まず「売上・利益ともに業績が急拡大したから」
2021年の株価急騰の最たる理由は、業績の拡大。
実際、2021年8月4日公表の決算短信をみると、経常利益は前年同期比で約9.3倍にまで拡大。
利益だけでなく、売上も前年同期比で約1.4倍の504,611億円を計上する好決算となりました。
好決算を受けて、日本郵船は同日に業績予想の上昇修正も発表。
これらのポジティブサプライズを受けて、投資家からの買いが集まり、株価は見事に急騰。
当然、業績拡大に伴う利益が確保されれば、株価上昇の要因になり得ます。
当時の株価動向を推移でみても明らかです。
決算発表日当日の始値は6,580円に対して、翌日には7,880円まで急騰。
比較すると、1,300円(19.8%高)も株価が急上昇したことになります。
ではなぜ、日本郵船は業績拡大に成功したのか?
主な理由を取り上げると、以下のような要因が挙げられます。
- コンテナ船運賃の大幅な上昇
- 北米航路および欧州航路での消席率向上
- 海上貨物取扱量が経済活動再開に合わせて増加
- ばら積み船運賃の値動きを示すバルチック海運指数の上昇
- 脱炭素時代に向けた次世代燃料に転換する積極的な取り組み
つまり、外部要因が改善されたということ。
世界の景況感が良ければ、海運業界の業績にもポジティブに影響します。
もっといえば、日本郵船株が「上がる理由」と「下がる理由」は、外部要因に大きく左右される銘柄だといえます。
【理由2】株式分割と配当金の増配が好感されたから
そして買い材料にもなりやすい「株式分割と配当金の増配が好感されたから」
日本郵船は、2022年5月26日に株式分割と増配を公表。
配当金の推移をみると、順調に増配していたのがわかります。
日本郵船の配当金 | 中間配当 | 期末配当 | 年間配当 |
---|---|---|---|
2022年度 | 350円 | 170円 | 520円 |
2021年度 (※分割調整後) |
67円 | 417円 | 483円 |
2020年度 (※分割調整後) |
7円 | 60円 | 67円 |
2019年度 (※分割調整後) |
6円 | 7円 | 13円 |
(出典:日本郵船「配当・株主優待」)
「株式分割」と「増配」は買いが集まりやすいです。
なぜなら、投資家にとってメリットの多いサプライズだから。
実際、2022年に入って日本郵船株の上昇要因は、これら資本政策によるもの。
株価の推移をみても明らかです。
公表当日の始値は10,600円に対して、翌日には11,520円まで高騰。
比較すると、920円(8.7%高)も株価が今回の資本政策によって急上昇したことになります。
つまり、株主への還元策は株価上昇の一因になるということ。
資本政策は業績とも連動するため、日本郵船の今後の業績動向にも注意が必要です。
日本郵船と同業他社を業績・株価・配当性向から比較
ここまで、日本郵船のみにフォーカスし株価や事業の将来性を解説してきました。
ただ1社のみの分析では結果に偏りが生じます。
同業他社と比較・分析することで、結果の確度はより高まります。
ここでは、日本郵船と同業他社を業績・株価・配当性向から比較していきます。
海運業界大手の銘柄比較
まず日本郵船と海運業界大手の銘柄比較をまとめた表が以下の通り。
比較表(2023年度) | 日本郵船 | 商船三井 | 川崎汽船 |
---|---|---|---|
売上高 | 2兆6,160億円 | 1兆6,119億円 | 9,426億円 |
当期純利益 | 1兆125億円 | 7,960億円 | 6,949億円 |
営業利益率 | 11.3% | 6.7% | 8.4% |
自己資本比率 | 65.6% | 54.0% | 73.8% |
ROE (自己資本利益率) |
40.8% | 49.8% | 45.8% |
EPS (1株当たり純利益) |
1,993.71円 | 2,204.03円 | 2,571.02円 |
PER (株価収益率) |
1.5倍 | 1.5倍 | 1.1倍 |
PBR (株価純資産倍率) |
0.63倍 | 0.62倍 | 0.49倍 |
配当性向 | 26.1% | 25.4% | 15.6% |
配当利回り | 16.83% | 16.92% | 19.83% |
※2023年3月末時点(数値はEDINET、Yahoo!ファイナンスから引用)
【比較1】売上高は2.6兆円と2011年3月期以降で最高
「売上高は2.6兆円と2011年3月期以降で最高」
【比較2】増配によって配当利回りは10%超えの高さ
「増配によって配当利回りは10%超えの高さ」
【比較3】他社よりROEがわずかに低い状況
「他社よりROEがわずかに低い状況」
今後の日本郵船株はどうなる?買い時を将来性から考察
日本郵船株は買いか否か。
結論、配当金目当てでも買いを入れるのはリスクが高い。
今後の日本郵船株はどうなる?買い時を将来性から考察していきます。
【考察1】2023年の株価上昇要因の一つは円安
「2023年の株価上昇要因の一つは円安」
【考察2】2024年以降の市況変動リスクは見通せない状況
「2024年以降の市況変動リスクは見通せない状況」
【考察3】とはいえ輸出入を支える海上輸送は欠かせない手段
「とはいえ輸出入を支える海上輸送は欠かせない手段」
乱高下する海運市況に左右される日本郵船株に関するQ&A
最後に乱高下する海運市況に左右される日本郵船株に関するQ&Aをまとめます。
【質問1】日本郵船の株価のAIによる将来予想は?

「日本郵船の株価のAIによる将来予想は?」
【質問2】日本郵船の株価の株式分割はいつ?

「日本郵船の株価の株式分割はいつ?」
【質問3】日本郵船の株価が10倍(テンバガー)を達成した理由は?

「日本郵船の株価が10倍(テンバガー)を達成した理由は?」
まとめ:日本郵船の株価が下がるor上がる理由と買い時を将来性から考察
日本郵船の株価が下がるor上がる理由と買い時を将来性から考察してきました。
改めて、日本郵船株の変動要因についてまとめると、
- コンテナ船運賃の下落
- 配当落ちが意識され手仕舞い売り優勢
- 売上・利益ともに業績が急拡大したから
- 株式分割と配当金の増配が好感されたから