楽天グループの株価は10年後どうなる?重要な3つの事業戦略から今後の見通しを考察
悩む男性

「楽天グループの株価は10年後どうなる?今後の見通しを教えてほしい!」

こんな疑問、悩みに答えます。

本記事では「10年後の楽天株の将来性が気になっている方」に向けて、以下の内容・目的で記事を書いていきます。

本記事で分かること

  • 楽天グループの10年後の株価にも影響しうる重要な事業戦略
  • 楽天グループと競合の株価10年後を業績・配当性向から比較検証
  • 楽天グループの株価の10年後を占う事業戦略から今後の見通しを考察

楽天グループの株価は、10年後どうなるのか?

株主だけでなく、楽天株の購入を検討している方にとっても、非常に気になる情報です。

気になる楽天グループの株価の10年後を重要な事業戦略から今後の見通しを考察していきます

先に結論をお伝えすると・・・

結論、楽天グループの先行きは不透明感が依然として強まっています。

最たる原因は、モバイル事業の継続的な不振。

実際、楽天が携帯キャリア事業に参入して以来、毎期赤字を計上。
好調なネット事業とフィンテック事業の利益を、すべて楽天モバイルが食いつぶす状況となっています。

つまり、楽天グループの今後を左右するのは楽天モバイルの行方。

そして今後も、楽天の株価が、今後いつ下落するかは誰にも予測できません。

さらに今では、物価ばかり上がって、でも給料は上がらない。
そんな先の見えない時代だからこそ、不安の解消に「将来への備え」は重要です。

ではどうすれば、株式投資によるリスクを抑えられるようになるのか?

楽天グループに限らず、株価下落に備えておくべき「考え方」と「具体策」があります

楽天グループとはどんな会社?過去10年間の株価推移

楽天株の10年後を占う重要な3つの事業戦略を解説する前に。
はじめに、楽天グループとはどんな会社か?過去10年間の株価推移とともにご紹介します。

会社名 楽天グループ株式会社
本社所在地 東京都世田谷区玉川一丁目14番1号 楽天クリムゾンハウス
設立 1997年2月7日
従業員数 単体:8,409名
連結:32,079名
(2022年12月31日現在)
資本金 444,945百万円(2023年6月30日現在)
発行済株式 2,138,419,700株(2023年6月30日現在)
事業内容
  • インターネットサービス(Eコマース、トラベル、デジタルコンテンツ)
  • フィンテックサービス(クレジットカード、銀行、証券、電子マネー、スマホアプリ決済)
  • モバイルサービス(携帯キャリア事業、楽天モバイル)

楽天グループの過去10年間における株価推移が、以下の通りとなります。

まったくさえない相場展開が続いています。

10年前の高値(約2,400円)と比較して、すでに1/4にまで下落。
また、直近1年間では600円~700円のボックス相場を形成しており、下に抜けた模様です。

果たして楽天株は上昇局面を掴む機運が訪れるのか?
はたまた、このまま株価下落は続いて、上場来安値(466円)を更新してしまうのか?

今後の株価を占ううえで、企業の「事業戦略」を考察することは非常に重要です。

次章で特に重要な「楽天グループの事業戦略」をご紹介していきます。

先に、株価下落に備えておくべき「考え方」「具体策」を知りたい方はこちらをご覧ください

【楽天グループの株価の10年後】重要な3つの事業戦略

10年後の2030年に向けた「Vision 2030」が発表されました。

楽天グループが今後取り組んでいくビジネスの方向性で、特に注目すべきが事業が以下の通り。

  • インターネットサービスセグメント
  • フィンテックセグメント
  • モバイルセグメント

10年後を見据え、何を重視するのか?
楽天グループの10年後の株価にも影響しうる重要な3つの事業戦略にフォーカスして解説していきます。

【戦略1】楽天市場などEC市場の更なるシェア向上

特に注目すべきは「楽天市場などEC市場の更なるシェア向上」

楽天グループの売上高のうち、50%強を稼ぎだすインターネットサービスセグメント。

本セグメントで特に注力するのが、楽天市場などEC市場の更なるシェア向上。
市場シェアを向上さえ、流通総額を増やし、結果的に売上収益を伸ばす戦略を掲げています。

ではどういった戦略に取り組むのか?
具体的には、以下の3つの部門ごとに施策を実施。

インターネットサービスセグメントの戦略

  • 品質革命・クロスユース強化・地域活性化を実践(国内EC)
  • 楽天ポイント関連サービス・メディアの新規開発(アド&マーケティング)
  • 早期黒字化を目指し、さらなる収益性向上へ(その他インターネットサービス)

これらの戦略によって、2030年の未来はどうなっているのか?
実際の数字(売上収益、営業利益、流通総額)を比較してみると以下の通りとなります。

インターネットサービスセグメント 2022年度 2030年度 増加率
売上収益(十億円) 1,104 約2,700 約1,596(+12%)
営業利益(十億円) 65 約410 約345(+26%)
営業利益率 5.9% 15% +9.1pt
流通総額 5兆円突破 10兆円を目指す +5兆円(倍増)

(出典:楽天グループ「決算短信・説明会資料」

売上収益は、2030年度に12%増の約2兆7,000億円。
営業利益率は15%まで向上し、流通総額は倍増の10兆円達成を目指す内容となっています。

楽天グループの中でも特に注目を集める事業。
言い換えれば、2030年の株価を占ううえで最も重要なセグメントとなりそうです。

【戦略2】楽天カードを中心としたフィンテックサービスの強化

そして次に注目すべきは「楽天カードを中心としたフィンテックサービスの強化」

インターネットサービスセグメントに次いで、売上高が多いのがフィンテックセグメント。

中でも本セグメントを牽引するのが「楽天カード」
楽天カードは、日本生産性本部のJCSIにて14年連続1位を獲得する、多くの顧客から支持されるクレジットカードです。

この楽天カードを基軸に、2030年までにフィンテックサービス間のシナジーを強化。
楽天グループ全体のエコシステム(経済圏)拡大に寄与し、さらなる成長を目指します。

ではどういった目標を掲げているのか?
具体的に、楽天カードの中期目標として掲げた「トリプル3」がこちら。

楽天カードの中期目標「トリプル3」

  • 発行枚数:3,000万枚
  • ショッピング取扱高:30兆円
  • 取扱高シェア: 30%

上記のうち、発行枚数3,000万枚は2023年12月に突破したと発表あり。

これらの目標達成およびエコシステム拡大によって、2030年の未来はどうなっているのか?
実際の数字(売上収益、営業利益、営業利益率)を比較してみると以下の通りとなります。

フィンテックセグメント 2022年度 2030年度 増加率
売上収益(十億円) 663 約1,600 約937(+11%)
営業利益(十億円) 99 約330 約231(+16%)
営業利益率 14.9% 20.0% +5.1pt

(出典:楽天グループ「決算短信・説明会資料」

売上収益は、2030年度に11%増の約1兆6,000億円。
営業利益率に至っては、20%にまで向上させる勢いある目標を掲げています。

楽天カードは、楽天グループにとって虎の子事業。
今後の楽天グループに様々な恩恵をもたらす、重要なセグメントだといえそうです。

【戦略3】楽天モバイル事業を成長させる「トライアングル戦略」

そして、楽天モバイル事業を成長させる「トライアングル戦略」

楽天グループの足を引っ張る「モバイルセグメント」
2019年に楽天モバイルとして携帯キャリア事業に参入して以来、毎期赤字を計上中。

実際、セグメント別の業績(営業損益)をみると以下の通り。
他セグメントが稼ぎだした利益を、モバイルがすべて食いつぶす状況が続いています。

楽天グループ|セグメント別業績 2019年度 2020年度 2021年度 2022年度
モバイル -765億円 -2,269億円 -4,211億円 -4,928億円
インターネット 1,072億円 401億円 1,033億円 782億円
フィンテック 693億円 812億円 891億円 987億円

(出典:楽天グループ「有価証券報告書・四半期報告書」

ですので、モバイルセグメントの将来の健全な収益への道筋が描けなければ、楽天グループに対する先行き不透明感が改善されることはないでしょう。

ではどういった目標を掲げているのか?
具体的に、楽天モバイルが掲げる2030年までのKPIがこちら。

楽天モバイルのKPI

  • B2C 契約回線数:~24百万
  • B2B 契約回線数:~7百万

様々な戦略が、楽天グループでは立案・実行されています。
ですが、残念ながら10年後の株価を的中することは、誰もなし得ません。

もっといえば、株価の急落に見舞われれば、多かれ少なかれ損失を被る可能性は高いです。

だからこそ、株式投資によるリスクを抑えるための「分散投資」が重要。

さらに今では、物価ばかり上がって、でも給料は上がらない。
そんな先の見えない時代だからこそ、不安の解消に「将来への備え」は重要です。

ではどうすれば、株式投資によるリスクを抑えられるようになるのか?

楽天グループに限らず、株価下落に備えておくべき「考え方」と「具体策」があります

10年後の株価予想にも役立つ楽天グループと競合を業績で比較

ここまで、楽天グループの事業戦略にフォーカスし株価の将来性を解説してきました。

ただ1社のみの分析では結果に偏りが生じます。
同業他社と比較・分析することで、結果の確度はより高まります。

ここでは、10年後の株価予想にも役立つ楽天グループと競合を業績で比較していきます。

通信業界およびEC業界との比較

まず楽天グループと通信業界およびEC業界との比較をまとめた表が以下の通り。

比較表 楽天グループ NTT KDDI ソフトバンク LINEヤフー
売上高 1兆9,278億円 13兆1,362億円 5兆6,718億円 5兆9,120億円 1兆6,723億円
営業利益 ▲3,638億円 1兆8,290億円 1兆774億円 1兆602億円 3,145億円
営業利益率 -18.88% 13.92% 18.97% 17.93% 18.81%
自己資本比率 3.98% 33.83% 42.98% 15.15% 33.99%
ROE
(自己資本利益率)
-39.10% 14.40% 13.41% 25.39% 6.38%
EPS
(1株当たり純利益)
-239.64円 347.99円 310.25円 112.53円 23.87円
PER
(株価収益率)
11.35倍 13.16倍 13.59倍 15.63倍
PBR
(株価純資産倍率)
1.28倍 1.57倍 1.72倍 3.25倍 0.96倍
配当性向 -1.91% 34.5% 43.5% 76.4% 23.3%

※2023年3月末時点(数値はEDINETYahoo!ファイナンスから引用)

【比較1】売上高はZホールディングスよりも高い

まず、EC業界で比較すると「売上高はZホールディングスよりも高い」

【比較2】自己資本比率は10%以下とすでに危険水域

ただ、注意すべきは「自己資本比率は10%以下とすでに危険水域」

【比較3】毎年配当を実施するも配当性向はマイナス

そして個人投資家が懸念するのは「毎年配当を実施するも配当性向はマイナス」

配当狙いの長期保有は、楽天株は不向きともいえますね。

もっといえば、リスク分散にも不向き。
株価下落に見舞われれば、大きな損失を被る可能性は大きいです。

ではどうすれば、株式投資によるリスクを抑えられるようになるのか?

楽天に限らず、株価下落に備えておくべき「考え方」と「具体策」があります

楽天グループの株価の10年後を占う戦略から今後の見通しを考察

ここまで、楽天グループの事業戦略と足元の業績について、深堀解説してきました。

では10年後の株価はどうなるのか?
ここからは、楽天グループの株価の10年後を占う戦略から今後の見通しを考察していきます。

【考察1】楽天モバイル事業の将来性は依然として懸念あり

まず留意したいのが「楽天モバイル事業の将来性は依然として懸念あり」

【考察2】目標達成をサポートするサステナビリティ戦略

事業拡大で欠かせないのが「目標達成をサポートするサステナビリティ戦略」

サステナビリティ戦略の中で特に重点を置く3つの分野がこちら。

サステナビリティ戦略の3つの重点分野

  • 従業員と共に成長(ダイバーシティ、公平性、インクルージョン、など)
  • 持続可能なプラットフォームとサービスの提供(持続可能な生産と消費、など)
  • グローバルな課題への取り組み(イノベーションと企業家精神、など)

【考察3】楽天経済圏の更なる拡大とユーザー確保がカギ

そして何より「楽天経済圏の更なる拡大とユーザー確保がカギ」

【Q&A】10年後の株価が気になる楽天グループに関するよくある質問

最後に10年後の株価が気になる楽天グループに関するよくある質問をまとめます。

【質問1】楽天の株価は将来性がない?

悩む男性2

「楽天の株価は将来性がない?」

【質問2】楽天株の買いどきはいつ?目標株価はいくら?

悩む男性2

「楽天株の買いどきはいつ?目標株価はいくら?」

【質問3】楽天の株価が過去最高値を更新したのはいつ?

悩む男性2

「楽天の株価が過去最高値を更新したのはいつ?」

まとめ:楽天グループの株価の10年後を占う事業戦略から今後の見通しを考察

楽天グループの株価の10年後を占う事業戦略から今後の見通しを考察してきました。

改めて、楽天グループの株価の10年後を占う事業戦略をまとめると、

楽天グループの株価の10年後を占う事業戦略

  1. 楽天市場などEC市場の更なるシェア向上
  2. 楽天カードを中心としたフィンテックサービスの強化
  3. 楽天モバイル事業を成長させる「トライアングル戦略」